Dragon Island

日々是修行。

探してたのはキミじゃなかったんだけどねw

こんにちは。
大きな目標ができたので、諸々調べ直したり読み直したりしているKei Alexです。
今回は、書店に漫画やらなんやら買いに行って、美術関係の読み物欲しいなぁと探していたら見つけちゃった本について。
僕が探していたのはこういうものじゃなくて、絵画や画家に関する雑学的なものだったんだけど……w

というわけで、お題「読書感想文」です。

アーティストのためのハンドブック

サブタイトルまで入れると『アーティストのためのハンドブック~制作につきまとう不安との付き合い方~』です。長いね(笑)。検索では、「アーティスト 不安」でトップにアマゾンのリンクが出てくるのでご安心ください。(何にw)

アーティストのためのハンドブック  制作につきまとう不安との付き合い方

アーティストのためのハンドブック  制作につきまとう不安との付き合い方

  • 作者: デイヴィッド・ベイルズ,テッド・オーランド,野崎武夫
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2011/11/25
  • メディア: 単行本
  • 購入: 3人 クリック: 41回
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店頭で数ページめくって、僕の頭の中と同じことが本文内で起こっていると判ったので即購入。
自覚があるなら買う必要ないと思われるかもしれませんが、考えたり思い出したり振り返ったりするよりも、ページをめくった方が手間が無いので。

翻訳について批判が起こるのは仕方ない

まず真っ先に、翻訳が酷いというレビューがありまして、僕も頷く部分が多々あります。英語が読める人は、ぜひ原書をお求めください。
どこがどういう風に酷いのかというと、全編、英語のように日本語を書いています
これは僕の推測ですが、アメリカ人である著者の執筆するニュアンスを、可能な限りそのままの形で日本語で伝えようとしたのではないでしょうか。
英語では普通の言い回しでも、そのまま日本語に置き換えると、とにかく回りくどく、長く、要領を得ない印象になります。
そういう違和感が、終始、読者にとてつもないストレスを与えます。最初から日本語で書くように作ってもらえたら、訳者が原書を読んだ時に感じた感動を、読者も味わえたろうと思います。
正直、ページ数で言えば新書の小説1冊分です。序文や訳者の後書きを除けば、180ページ程度。僕は普段、小説であればこの程度のページ数は、3時間かからずに読み終えるんですが、本書は倍以上かかりましたし、途中で何度も目と頭が疲れて仮眠を取りました。本当に、読み進められないぐらい眠くなって、そのまま本を伏せて目を閉じて1時間程度寝ました。
申し訳ないけれど、訳者が後書きで「90分程度で読める」だの「カフェで気楽に」だのと語っているのは原書の話であって、あらかじめ「英語ってのはこういうもんだ」と知っている場合に限られると思いました。

また、これとは関係なく「てにをは」の脱字も数か所みられました。幸い読める程度ですが、元々、本文が読みにくいので、ちょっとしたことがストレスを増幅させ、マイナスポイントとして印象に残ってしまいます。

ごく限られた人に向けた本

これに関しては、著者が容赦ないです。
オリジナル作品を創作していて、わずかでも創作を通じて「自分」を表現している人。そして毎日のように目に見えない不安と闘っている人。
そういう人を対象にしています。
ジャンルは問わず、平面でも立体でも、絵でも文でも関係ありません。
また、プロもアマも、学生も大人も関係ありません。もちろん、美大生でも、そうでなくても。

著者は二人で、どちらも副業を持つ写真家です。つまり兼業。二足のわらじ。
プロフィールはAmazonでも確認できるので割愛しますが、片や大学で教えた経験があり、片や執筆の経験があります。
彼らの体験と、彼らを取り巻く人々からの話と、彼らが読んだ(膨大な量の)本からの情報をもとに、細かく分析された、哲学書のような書籍です。

幅広い「不安」に対応

自己批判や余計な感情に振り回されてしまう問題、第三者に認められるのがままならない問題、副業を始めた途端に制作から遠ざかる問題、大学という特殊な環境に所属する問題……などなど。これらは個別であって、同時多発的に生じることはあっても、段階的に起こるものではありません。
なので、読者は最初から最後まで通しで読んでも良いし、気になる章から順に読んでも良いです。その点は気楽です。
※著者による序文と、最初の章だけは、本書の最後に結びついているので読んでおいた方が良いかもしれません。

自己啓発系ではない

サブタイトルに不安との付き合い方とありますが、決して自己啓発的な内容ではありません。
なにより本書のどこにも「解決策」が書かれていません。こんな風にしましょう、あんな風にしましょうと、ポジティブな方向に誘導したりしません。
終始一貫して、「『問題』を混同しないように」、「そういうものだと認めなさい」、「(だから)制作を続けるしかない」に尽きます。
創作活動をする人なら、誰もが一度は、自分の作品や作風、または活動の方向性などに不安を覚えて、どうして良いかわからなくなることが、あるのではないでしょうか。
それらを一つ一つ「当たり前のこと」であると説明してくれるのが本書です。
そうです、説明しかしません。
そして説明した結果、制作するより他に道はない、という結論に至るのです。

また、どうして制作をやめてしまうのか、どうしてアーティストとしての道を断ってしまうのかも、説明されています。
様々な環境との兼ね合いに違いないんですが、結局のところ、制作とそれ以外のことを天秤にかけて、どちらを取るかです。(制作を取らないから悪いということではありません。ただの結果です)

繰り返しますが、本書はあくまで、アーティストの身に起きる様々な問題を説明しているだけです。
その上で、もしもアーティストの道を進み続けるなら、「制作し続けるしかない」と結論付けているのです。
※著者は本文中に「中断と中止は違う」と明記し、中断であれば問題ないと話しています。

僕の話は最初の40ページ分

40ページまでは、僕自身が実際、数年前にぶつかって、眠れないほど苦しんだことについて書かれていました。
自分と向き合い、余計な感情を排除して、具体的な問題を挙げる必要があるという内容です。
文章で書くといかにも簡単そうですが、とんでもない(笑)。
僕の場合、余計な感情というのは「あんな風に描いてみたい」「こんな世界を描いてみたい」といった憧れや、「これでは売れない」「自分なんかが烏滸がましい」といった自己批判です。
ストレスを予感して嫌がる自分を殴りつけて(比喩)、感情の裏に逃げたり隠れたりするのを徹底的に追い回し(比喩)、「結局お前(僕自身)はどうしたいんだ!」と激しい自問自答をしまして、二晩不眠、一週間寝不足になりました。
僕の場合、そこまでしないと自分の核心を引っ張り出せなかったんですが、全員が全員、こんなハードなことにはならないと期待するばかりです(笑)。
核心に対する課題が明らかになれば、自然と解決策も見えてきます。あとはそれを「やる覚悟」を決めるだけだし、「やるしかないと諦める」だけでした。
そういうことなんです(笑)。

ちなみに、「魔法ではない」問題も取り上げていました。古今東西、アーティスト本人が考えることは同じというわけです。そりゃそうだ、自分の手で作っている確信があるんだから。

最後にもう一度繰り返しますが、本書は説明しかしていません。
あくまで、今抱えている不安の正体を突き止めるための本です。
突き止めた後、腹を据えて向き合うか、距離を置くか、完全に別離するかは読者の自由です。
ただ、正体不明なのにやたらはっきりと圧し掛かってくる巨大な不安に、日々悩まされている人は、何故こんなにも不安なのかを知る糸口に、読んでみてはいかがでしょうか。


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