Dragon Island

日々是修行。

山本二三展に行ってきました。

こんにちは。
絵を見るのも描くのも大好きでアニメも大好きなKei Alexです。

僕のレビューを始める前に、すでに素晴らしいレビューがあるので紹介させて下さい。

chizurumaro.hatenablog.com

僕がお世話になっているぬり絵アドバイザーのちづる(id:chizurumaro)さんの記事です。
そもそもちづるさんが流して下さった情報で知りました。SNSって素晴らしい。
そんなわけで、とても詳しく、わかりやすくレビューして下さっているので、是非お読み下さい。

さて、僕の方は、ちづるさんの二番煎じで何も書くことがありませんwww
記事にするのにそういう訳にもいかないので、僕なりの目線でレビューします。

山本二三展 2018 in 札幌

パンフを見ると、2011年が初開催で、翌年から全国を巡回しているようですね。
北海道は2度目で、前回は道立帯広美術館で行われたようです。(知らなかった)

作品点数はなんと188点!
アニメーションの背景ということで、1点のサイズは小さめですが、情報量が多いので1点1点が大きく感じられ、見応え十分です。

ショッピングモールの特設会場ということもあってか、会場は2カ所に分かれています。
第一会場でチケットを切って貰い、一通り観覧した後、第一会場の出口を出て、向かいにある第二会場入り口へ進みます。
第二会場でチケットの半券を提示し、中に入る仕組みです。
2つの会場はモールの通路を挟んで設営されているので、第一会場を出た後、一旦休憩を取って、第二会場へ向かう、といった方法を取りやすくなっています。
便利なことに、すぐ近くに食べ物のお店とイートスペースがあるので、探し回ったり、他の館へ移動しなくても済みます。(ショップは入れ替わるのでフロアガイドなどでご確認下さい)

小ささを感じさせない

上にも書きましたが、アニメーションの背景用なので、1点のサイズが小さいです。
どれぐらいかというと、大体B4ぐらい。364mm×257mmのサイズ。大学ノート2ページ分。
例えば『ラピュタ』の通路を描いた場面、『時をかける少女』のポスターにも使われた坂道などは、ほぼB4です。(比率が違うので若干寸法が異なりますが)
もののけ姫』がちょっとだけ大きくて、270mm×382mmぐらい。
もちろん場面によっては、もっと大きく描いたり、(カメラワークのためか)六角形の変形で描かれたりします。

ラピュタ』のあの細かい装飾が施された石造りの構造物や、『時をかける少女』のベランダまで描き込まれた住宅が、大学ノートの見開きに描かれているんですよ!!
もしも壁一面に紙を張って描いていると言われたって、僕は納得します(笑)。

作品ごとに風合いが違う

山本二三さんといえば、ジブリというか、宮崎駿さんとのタッグという印象があります。
未来少年コナン』や『ラピュタ』などの印象が強いからだと思います。

山本さんはジブリ専属ではなく、他にも沢山の作品で背景を描いています。
当然ですが、作品の表現が変われば、背景もそれに合わせて変わります。

例えば『じゃりん子チエ』では、彩度が高く、いかにも「アニメ風」で描かれています。
僕はこれはもしやセル画に直接描いているのかと思っていましたが、他の作品同様、紙にポスターカラーでした。
また例えば『時をかける少女』では、透き通るような「00年代流行」の雰囲気で描かれています。
僕はこれはいよいよデジタルで描かれているのかと思っていましたが、アナログでした。
他にも、デジタル絵本の仕事では、ペンによる細い線と、明度の高い色で、海外のアニメーションのような、柔らかくメルヘンチックな雰囲気で描いていたり、さすがの多彩さです。

あくまでも「背景画」

これは僕の感覚的な話です。

「背景画」は、細かく描いているようで、そんなことはないんだ。
というのが、全体を通しての感想でした。
残念ながら印刷してしまうとわかりにくくなってしまうんですけれど、原画で見るとよくわかるのが、細かい書き込みの部分。
これが、思ったほど細かくないのです。

何度も書きますが、原画の大きさは、およそB4です。36cm×25cmぐらい。
細部まできっちり描こうと思ったら、米粒にお経を書くレベルになります。
これでは到底仕事が進まないでしょう。(※)
かといって、手を抜いて良いわけではありません。
簡略化しつつも、そう見えないようにするためのテクニックが、明暗のコントロールなのだと感じました。
明暗と言っても、描く以上は「色」ですから、正しくは「色のコントロール」と言うべきでしょうか。
山本さんはこれがとても巧みだと思いました。
※パンフレットに掲載されている山本さんのお話によれば、1日に4~5枚、1ヵ月に200枚ぐらい描くのだそうです。

そんなわけで、背景画の作法というか、コツというか、そういうテクニックに触れて感嘆しました。

※もちろん、作品ごとに細部をしっかり書き込まれたものもありますよ。

好きな作品など

僕が好きなのは、
火垂るの墓』「火炎」(イメージボード)、「空襲」「焼夷弾
天空の城ラピュタ』「炭鉱町」
時をかける少女』「ゴーヤ棚」「坂道」
『Coo 遠い海から来たクー』「夜のダイニングキッチン」「コーラルガーデン」
もののけ姫』「木漏れ日」「シシ神の森(5)」「水底と苔」
『歩き屋フリルとチョコレートきしだん』「トレイジャの町」
炎や光や水といった見えるような見えないような、形があるようなないような、そういうものに目が行きます。
それと樹木や苔など(笑)。

驚いたのは、『時をかける少女』の「哲学堂グラウンド」です。
書き込んでいるようで書き込んでいない、絶妙な表現にビビりました。

単純に知らなくて驚いたものでは、背景を描いている紙を切り抜いて、背景画を複数重ねて動かせるようにしてあること。
こういうことはセルに描かないとできないのかと思っていたのです。(一つ賢くなった)

お土産

そんなわけで、今回の戦利品はこれらです。

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パンフレット、ポストカード、(チケットの半券w)、マット付き複製2枚。

原画である意味

原画だと、筆で絵の具を盛っている様子、色の上下関係、手作業ならではの歪み、下書きの跡(窪み)などが、はっきりとわかるんです。
そこから、ほんのりと工程がくみ取れたり、こんな風に描くのだというものをふわっと掴めたりするのです。

これが、驚くことに印刷されると全部消えます
いや、僕も僅かながら印刷の経験があって、良くも悪くも粗が消えることは知っていますが、山本さんのような描き方や、背景画を数枚重ねているようなモノについては、原画とプリントで、ン百倍の差が出るんだなと。
「画集で良いじゃん?」なんてとんでもないです。
画集じゃわかんないから!見えなくなっちゃってるから!!と(笑)。

次に地元で見られる機会がいつになるかわからないので、気になる方は迷わずゴーですよ!

sapporofactory.jp


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