Dragon Island

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日々是修行。

ブラッドハーレーの馬車

こんにちは。
別の記事を書こうと思ったら今週のお題が目に飛び込んできたので、秒で予定を変更したKei Alexです。

というわけで、今週のお題「好きな漫画」です。

好きな漫画は沢山ある

古いものから新しいものまで、1冊完結や1話読み切り、単行本に収録されないものまで含めたら、それはもう挙げきれないほど。
インディーズ作品やTwitterエッセイを入れたら大変なことに。

そんな中で、最近「これは!」と思ったのが一つあります。

ブラッドハーレーの馬車

ブラッドハーレーの馬車

ブラッドハーレーの馬車

 

刊行されたのは6年前ですが、僕が読んだのはつい先日でした。
「鬱展開」とか「トラウマ漫画」とか言われている中でも、「面白い」ものはないかなって探していたとき、レビュー記事を見つけたのがきっかけです。

作家は沙村広明先生。
無限の住人』や『波よ聞いてくれ』が有名です。
僕はどちらもタイトルしか知りません。

レーベルからしてアダルト向けですが、エッティよりも「痛い」「悲惨」「不幸」「救われない」という作品です。
サイコスリラーやサスペンスホラーが好きな人、見慣れている人なら、大丈夫だと思いますが、そういうのが苦手で、しかも想像力が豊かな人絶対に読まない方がいいです。(状況といくつかの絵だけで、何が起きたのか容易に理解できます)

と、思わずネガキャンから始めてしまいましたが、ビジュアル面で痛烈なのは最初の2話だけで、あとの6話は「きっと、この子もああなるんだね、うううう」と読者に想像させる終わり方になっています。
ここで、「いや、この子ならきっとこんなことが起きて、上手くいくはず」と想像するのもアリです(笑)。
ただ、「今までの流れからして…」と絶望させるに十分な威力で、事前にこちらの精神を打ちのめしていますけどね。

予定調和が超上手い。

この漫画、1冊完結なんです。
収録話数は、8話。

最初の2話で、どんな経路でどんな結末が待っているのか丁寧に描き、読者にガッチリと「恐ろしさ」を植え付けます
3話目から7話目まで、どんな人たちが、どう関わると、どうなるのかが描かれていて、読者が想定し得るあらゆる希望的な選択肢を潰していきます
どれぐらいかというと、ルフィや悟空みたいなジャンプ作品のヒーローがどこからともなく現れて、超パワーで物理的に破壊しない限り無理、というぐらいです(笑)。
そして最終8話、精神をタコ殴りにされた読者が倒れ込んだところで、物語もゆっくりと終幕を迎えます。「ジャンプヒーロー」よりは地味ですけど、ちゃんと合った展開で(笑)。

最初から1冊完結、話数は8話と、完全にスケジュールが決まっていたのでしょうか。それぐらい、キッチリ収まっています。
無駄な部分が一つもなくて、かといって、足りない部分も一つもなくて、宮大工の組んだ柱みたいにピッタリと嵌まっている感じ。

プロなんだから当たり前と思ったら大間違いで、こんなに上手にまとめられる漫画家を僕はほとんど知りません。

絶望しかない地獄の世界を見せつけられたというのに、スッキリと読み終えることができました。

謎は多い

本作は探偵モノでないので、謎は謎のまま残されます。
例えば、本作のタイトルにもなっている「ブラッドハーレー」という名の侯爵について。
状況からほぼ間違いないだろうところを推測することはできますが、真意や人物像は明かされません。素顔も出ません。
なので、そういうのが気になる人は消化不良を感じるかもしれません。

僕は、あれこれ想像するのが楽しいので、その余地がある作品は好きです。
想像の分だけ作品をより長く楽しめ、愛着も湧きやすくなります。

あらすじと感想

最後に簡単なあらすじと感想。

とある時代のとある都市。
貴族院議員のブラッドハーレー侯爵は、自ら持ち出したとんでもない法案を、世情の波に乗せて議会で可決させることに成功する。

それから何年かしたころ、巷では「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」が一世を風靡し、少女たちのあこがれの的になっていた。
歌劇団の加入条件は少ないが難しい。
毎年各地の孤児院から数名、14歳以上で器量が良く健康な少女を、ブラッドハーレー侯爵が自ら選出し養子として引き取ること。
孤児の少女からすれば、これ以上ないほど好条件の家庭に引き取られることになり、歌劇団で活躍すれば女優として将来が約束されたようなものでもある。
期待しない子はいなかった。

そして、今年もまた少女が選ばれ、侯爵から贈られたドレスを身にまとい、仲間に見送られながら、嬉し誇らしで「ブラッドハーレーの馬車」に乗る。

行先は侯爵家、未来は光り輝いている……はずだった。

デデデデーン!!

最後まで読んだ僕の感想は、「トマス・リンの娘が父ちゃんに似てて良かったね」です。

短いお話なのでうっかりポロっとネタバレしないように、このへんで(笑)。
気になる人は読んでみてください。面白いから!!


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