Dragon Island

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日々是修行。

『リアルに描くための水彩画ポイントレッスン』

こんにちは。
ワクチンの筋肉痛がほとんど消えてほっとしているKei Alexです。
丸一日半かかっています。(触るとまだちょっと痛い)

普通の筋肉痛と大差ない感じで良き良き。
なお僕はワクチンの効果についてあんまり期待していません。やらないよりマシかな、ぐらいです。

リアルに描くための水彩画ポイントレッスン

最近発売された水彩画の指南書です。
僕は取り立てて「リアルさ」……写実的な表現にこだわっていませんが、「リアリティ」には多少のこだわりを持っています。
主に雰囲気や質感みたいなものです。

わずかでもそうした気持ちを持っている人には、本書をオススメしたいです。

それはさておき、本書の凄いところを一言で言えば「一人の作家が画家人生で培った知識と技術そのもの」です
最近、こういう講座多くないですか? 僕がたまたまその方面に敏感なだけですかね?

全ページが「ポイント」

この本、160ページぐらいあるんですけど、ひとつひとつの「ポイント」数がページ数とほぼイコールなんです。

一般的な絵画の技法書と同じく、前書きがあり、目次があり、作例が数ページ続き……という流れで始まります。
ところが、この作例ページがもう面白いです。
解説の各章の名前が冠された上に、解説のテーマに沿った技術説明が添えられていて、なおかつ解説掲載ページが目立つように記されています。
これ自体が、目次の役割をしているのです。
……目次は他にちゃんと用意されているのにですよ?

たとえば、一番最初の章と作品について書き出せば、

モチーフをあるがままに捉える
波には規則性がある 40p

自由に形を捉える波ですが、よく見ると一定のルールがあることに気付きます。その規則性を把握して描きます。

『リアルに描くための水彩画ポイントレッスン』より
※フォントサイズは意図的に変えています。

とあり、すぐ下に『語らい』という作品が大きく掲載されています。
キャプションはもちろんのこと、

波はうねるリズムがあり、規則的に打ち寄せては引いていきます。打ち寄せる角度は一定で、潮が引いていく際の流れ落ちる水によって綺麗に揃った岩の苔が、その方向性を残しています。

『リアルに描くための水彩画ポイントレッスン』より

という、作品のテーマというよりも技術に関する説明になっているのです。

それで、誘われるまま40ページを開いてみると、今度は写真を使った波の規則性に関する解説が始まるのです。

解説は絵と写真の合わせ技

「リアルに描くための」とあるように、この本で解説されているのはどれも写実的な表現に結びつく要素ばかりです。

どうしたらよいかを簡単に言えば、見たモノを見たままに描けば良いわけで、資料として一番手っ取り早いのが「写真」です。

著者は写真家ではなく画家でして、本書に掲載されている写真はどれもスナップです。
撮影について高い技術は必要ありません。
仮に失敗しても何とかできる方法を紹介したページがあります。フォローが手厚いです(笑)。

写真ですから、写っているのは紛れもない「事実」です。
描くにしても説明するにしても、そこを指し示せば一瞬で理解できるわけです。

本書では、写真にわざわざ線を引いたり、区分けをしたり、一部を抜き出したり、なんなら他の写真と合成したか変形させたかしてアングル違いのモチーフを混ぜてみたりして、丁寧に解説しています。

読みながら何度も「たしかにー!」と納得できるつくりになっています。

色や筆の扱いもしっかり解説

絵の具を使って描くわけですから、当然、絵の具や筆の技術や知識もしっかり解説してあります。

ホルベイン18色セットを使った混色表の作り方に始まり、色のチェックの仕方、「黒」の違い、「白」の使い方、マスキング……と一通りの基礎知識が解説されています。
昔よく目にした「黒と白は封印しろ」ということを、著者は言いません。

僕に響いたのはムラのない塗り方や水分量に関する解説でした。
読みながら、自分が間違ったやり方(文中で「やってはいけない」と書かれた方法)をしていたことを知り、どうしたらよいかを学ぶことができました。(実践できるとは言ってない)

情報が多い

こんな感じで、最初から最後までずーっと細かく丁寧な解説が詰まっています。
最近よく見る「無駄のない構成」で、情報量がとんでもないです。
テキストの量はさほど多くありません。
写真や作例がメインで、これらはしっかり確認できるように大きく掲載されています。
ページ数も標準的です。
それでもボリュームが多いと感じます。
1ページも見逃さず、1文節も読み飛ばさず、ほんの短いテキストが自分にとっての肝になります。

これでお値段2,400円(税抜き)ですからびっくりです(笑)。
用紙やページ数との兼ね合いなのかなあ。

久しぶりに買いたくなった、買って良かったと思う指南書でした。


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